労働法・制度

年俸制のメリット・デメリットを解説【入社前のチェック項目付き】

仁井 貴志

 

悩める人
悩める人

「年俸制」って、年収と何がどう違うの?
年俸制の会社で働いても、大丈夫なのかな?
よく知らずに入社して、失敗したらやだな。

 

こんにちは、仁井貴志です。
私は普段、某大手企業の転職エージェントとして社会人向けのキャリアコンサルを行っています。

先日、お客様から「年俸制」について尋ねられました。
確かに、「年収」は聞くけど、「年俸」ってなかなか聞かないですよね。(野球選手?みたいな。)
本記事では、年俸制について、転職エージェントの知見を交えて解説します。

 

本記事の閲覧メリット

  • 年俸制の概要と、メリット・デメリットが分かる
  • 年俸制の会社への入社を検討する上で、注意点を押さえられる

本記事は5分程度でサクッと読めますので
この機会に、ぜひ年俸制について正しい知識をGETしてくださいo(`ω´ )o

 

年俸制ってそもそも何?

年俸制は、従業員に対してお給料を支払う際のルールのひとつです。

月給制が毎月ごとに支払い給与が決まることに対して、
年俸制は1年単位で支払い給与が決まります。

上記のように、年俸制の概要はこれだけで、至ってシンプルです。
ただ、企業ごとに細かいルールがありますので、知らずに入社すると損することがあります。
以下に詳しく書きます。

 説明補足
なんで年俸制を導入する企業がいるの?:
企業側にも、年俸制を導入するメリット・デメリットがあります。
※他のサイトではなかなか語られておらず、エージェントに聞いても答えられないことがあります。

詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
年俸制を企業が導入する理由【メリット・デメリット解説】

年俸制のメリットって何?

気になる人
気になる人

年俸制の会社で働くと、実際どんないいことがあるのかな?

実際に働いたことがないと、「謎の制度」という感じで分かりづらいですよね。
以下に解説します。

 

年俸制で働くメリット

  • ライフイベントの計画を立てやすい
  • モチベーションが上がりやすい
  • 社会人としてキャリアに箔がつきやすい

 

メリット①:ライフイベントの計画を立てやすい

年俸制では、1年間にもらう給料に変更がありません。
このため、ライフイベントの計画を立てやすいです。

一方の月給制では、毎月の給与にばらつきがあります。
また、賞与は会社の業績やあなたの評価次第でもらえる金額が変わります。
「理論年収」として提示された金額も参考にならないことがありますので、この点は月給制の不安なところです。

年俸制であれば、このような受給の仕方が多いです。

  • 年俸額を12分割して、もらう
  • 14分割して、賞与っぽいものも発生する

ローンを組んだり、結婚式で出費が痛くても
「毎月いくらもらえるか」が分かってれば安心かも!

 

メリット②:モチベーションが上がりやすい

年俸制の会社は、あなたの働きに応じて年俸額を上げてくれます。
このため、「頑張れば、昇給する」ことが明確で、モチベーションが上がりやすいです。

月給制の場合、「年功序列」「在籍年数」「新卒至上主義」といった文化の会社がいます。
→”評価制度”は名ばかりで、何年働いてもあまり昇給せず、モチベーションも下がりやすいです。
※そうなると長期的に働くことを不安に思うためこれが転職理由となる方も多いです。

年俸制を導入している会社は、成果主義の社風であることが多いです。
よって、頑張った分が給与に反映されやすい点では、モチベーション向上にもってこいです。

 説明補足
評価制度について:
全社の統一目標ではなく、上司と面談して個別の目標設定をしてくれる会社もあります。
「頑張りたいけど、No1とかは無理かも」と思う人でも、自分なりに頑張れば昇級チャンスは大いにあります。

 

メリット③:社会人としてキャリアに箔が付きやすい

年俸制の会社でなら、入社から数年でも給与の大幅UPが狙いやすいです。
どれくらい違うかというと、例えばこんなイメージ。

・月給制:15年かけて、課長職へ昇進。(役職手当て込みで年収550万円
・年俸制:入社して4年連続で年俸額UP(年俸600万円

何歳からでも、役職や入社年次に関係なく稼ぐことができます。
もし20〜30代で頑張って収入UPできていれば、
人付き合いや遊び方、ライフイベントの設計も変わってきますよね。

また、「年俸額を上げる=何らか評価されている」と世間は認識します。
実は、数値を交えて自分の頑張りを話せる事は、転職時の大きな武器になります。

dummy
働くマン

前の会社でも頑張ってたので、御社でも頑張ります!

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超働くマン

こんな実績がありますので、御社でも頑張れます!

→あなたが社長なら、どちらを採用した方が得しそうですか?

 


若いうちに持っているお金の方が、多分貴重だな〜。
世の中お金が全てじゃないけど、時間や経験を買うにはお金が必要だ…!
じゃあ、今頑張ったらすぐ昇給できる会社がいいかも?

 

年俸制のデメリットって何?

気になる人
気になる人

年俸制のメリットはわかったけど、いいことばかりじゃないよね?
何か損になる事はないの…?

こう思う方も、当然多いのではないでしょうか。
もちろん、気をつけるべきこともありますので、以下に解説します。

 

✔︎ 年俸制で働くデメリット

  • 収入ダウンの可能性がある
  • 年俸に残業代が含まれている可能性がある

 

デメリット①:収入ダウンの可能性がある

年俸制は、その年の実績・評価に応じて翌年度の年俸額が決まる制度です。
このため、全く成果が残せなかった場合は、年俸が下がることもあり得ます。

月給制の会社にも降給制度が適用されている事はあるため、一概に年俸制だけのデメリットとは言えません。ただ、月給制の会社よりも、ダウン幅は大きいです。

年俸額が上がったからといって、気を抜いてサボっていると、残念なことになります。
何かを買ってローンを組んだ後なら、「頑張らなくては」というプレッシャーも大きくなります。
常に高いパフォーマンスを発揮するために、努力し続ける人のための制度、とも言えますね。

 説明補足
「生活権を脅かすほどの労働条件の不利益の変更」は、労働者の同意なしに行ってはいけません。
このため、フルコミッション(完全歩合)制と違って、「いきなりガツンと下がる」という事は実際殆どありません。(サボってはいけませんが)

 

デメリット②:年俸に残業代が含まれている可能性がある

支払われる給与が決まっている年俸制ですが、
思わず残業代で損な気分を味わうこともあります。

残業代は、会社ごとに分単位、時間単位で計算されて支給されることが多いです。
ただ、年俸制の場合、例えば下記のようなケースとなることがあります。

固定残業代制度:毎月30時間残業する”だろう”と想定
→この分を年俸額に加えている
※「みなし残業」と呼んだりします。

こうなると、毎月の残業時間が1時間でも、30時間でも、もらえる金額は同じになります。
残業は成果ではなく過程ですから、成果主義の年俸制では、固定残業制度を導入していることが多いように見受けられます。

 説明補足
月給制の会社でも、固定残業制度を導入している会社はあります。
どの会社に入る上でも、気にしたいポイントですね。

 

年俸制の会社に就職するときに気をつけることは?【失敗を防ぐために】

気になる人
気になる人

年俸制のメリット・デメリットは、何となく分かったぞ。
でもまだ、イメージがついていないところもあるかも…。
実際、年俸制の会社に入る時に気をつけた方がいい事はないの?

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが
年俸制といっても、企業ごとに細かい給与ルールは異なっています。

ここでは、私がエージェントとして年俸制の会社へ転職支援を行う際、
企業へ必ず確認している項目を公開します。

 

✔︎ 入社を決める前の確認項目

  • 分割ルール(賞与)の詳細
  • 評価のタイミング&評価基準
  • 残業支払いルールの詳細

あなたが年俸制の企業へ入社を考えた際、押さえておかないと入社後に損をする可能性があります。
「そんなの聞いてなかった!知らなかった!」ということにならないよう、要点を押さえておきましょう。

 

要確認①:分割ルール(賞与)の詳細

年俸を何分割して支払うのかという話ですが
実際のところ「12〜17分割」など、企業ごとにばらつきがあります。

分割内容が企業ごとに変わる理由は、「賞与」の存在が大きいです。

  • 基本年俸+賞与(賞与は別で支払う)
  • 年俸の12カ月均等割り(賃金と賞与を一本化)
  • 年俸(基本年俸+基本賞与)+業績賞与

会社ごとに賞与の扱いが変わるため、上記によって年俸の分割内容が変わる仕組みです。
何分割されるのか、賞与の扱いがどうなるのかによって毎月の収入額が変わりますので、ここは確実に押さえたいポイントです。

 説明補足
年俸(基本年俸+基本賞与)+業績賞与について:
賞与として「概ねここまでは払うだろう」という額を年俸に含める。
→ばらつきが出そうな部分を、別途賞与として払うイメージ。

 

要確認②:評価のタイミング&評価基準

年俸を上げる上で、「いつ評価されるのか」「何を評価されるのか」を知らないまま入社するのは大変危険です。
入社後に適切に働くために、この2点は必ず押さえたいポイントです。

加えて、こちらも聞いておくと捗ります。

 要チェック項目
・評価してくれる人は、誰なのか(直属の上司?部長?社長?)
・結果のみの評価なのか、そこに到る過程も評価対象か
・月ごとや四半期ごとの中間面談などはあるか
・目標達成に向かって正しく行動できているか、日常的に相談する機会はあるか

入社前の質問は、「働くイメージが明確につく」ことがゴールです。
細かいようですが、知っているかどうかで、入社後の生産性は全く変わってきますよ!

 説明補足
上記の質問をする際は、相手の心証を下げないよう、言い方に気をつけなければなりません。
ですが「聞いてはいけない」という事はありません。
あなたが正しく評価されるために、気になった事はガンガン聞いていきましょう。

 

要確認③:残業支払いルールの詳細

こちらは、デメリットの項目で軽く触れた内容ですね。
残業代の支払い方も、企業によって細かくは異なってきます。

例)
A:労働するものとみなして、固定残業●時間分を支給
B:固定残業●時間 + 超過したら●分単位で支給
C:一般メンバーと管理職とで、みなし残業時間が変わる

特にCについては、転職エージェントですら詳細を把握していないケースがあります。
知らずに評価されない労働をしてしまわないよう、このルールもしっかり確認しておきたいところです。

おまけ:生産性を上げるために

気になる人
気になる人

いろいろ気にしなきゃいけないことがあるのは分かったよ。
でも…別に残業代くらい、ちょっとくらい損しても良くない?

今の会社からの扱われ方によっては、こんな風に感じる方もいるかと思います。
私もブラック企業にバッキバキに管理職をやっていた頃は、そう思っていました。
ただ、これは「お金でちょっと損する、損しない」とか、そういう話でもないんです。

最適な労働時間で、最適なパフォーマンスを出す。
この意識を持つ事は、成果主義の会社かどうかに関わらず、とても有意義です。

 

これからの働き方

  1. あなたが期待する、将来の自分の年収を決める
  2. 正しい努力の方向性と、行動量を決める(上司と相談)
  3. 決められた時間の中で、実行していく

がむしゃらに長時間労働する時期があってもいいですが
目標に向かって自分を近づけている実感が持てれば、もっとメリハリをつけて働くことができます。

会社の制度は、いわば”ゲームルール”です。
どのボタンを押せば、何ができる。どこまで経験を積むと、何になれる。
ゲームを最大限、そして楽しく遊ぶことができれば、あなたはそのゲームの達人になります。
生産性高く、健康的に働き続けるために、ぜひ細かい規則にも注目してみてください。

 

生活の選択肢を広げる、年俸制。

今回は、年俸制について詳しく解説しました。
年俸制についての理解が深まり、また年俸制の会社への転職を考えた際の参考となれば幸いです。

年俸制のメリット、注意点を正しく理解して、あなたの生活の選択肢を広げてください♪

もし、転職活動を今から考える方がいらっしゃれば、下記のページをチェックしてみてください!
あなたが今よりもっと充実したキャリアライフを送れますように。

https://careality.jp/category/job-change/

 

ABOUT ME
Nii Takashi
Nii Takashi
転職エージェント|マーケター
人材派遣▶︎人材紹介▶︎人材アウトソーシング・BPO|営業とマーケ、事業推進をしてきました|サウナとゲーム、心理学が好きです!
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