日本でEV(電気自動車)が普及しない理由【自動車業界への就職】

自動車メーカーで働いている方からの転職相談。
年々増えている肌感覚があります。

「自動車メーカーへの就職って、どうなの?」
そんな質問も、まだまだ受けます。
今回は、自動車業界(特に電気自動車)についてのコラムになります。
・自動車業界への就職って、どうなの?
・電気自動車って、流行るの?
・ガソリン自動車って、いつまで乗れるの?
こんな疑問にお答えする内容になります。

▷ 大手人材企業にて、社会人向けにキャリアコンサルを行っています(現役プロエージェント)
▷ 人材業界6年目、延べ3000名以上のキャリア相談を受付。
▷ 以前はブラックベンチャーで営業課長。月残業250時間で消耗経験もあり。
自動車メーカーへの転職や就職を考えている方へ
業界従事者の生の声を聞いたり、
直近、この業界の関連ニュースを見る中で
伝えたいことはシンプルに一つだけ。
(結論)
『その会社が、EVにどれだけ注力しているか、調べてみて。』
EV=電気自動車。
世界の動き、日本の動きから、自動車メーカーの行末を考える。
ガソリン自動車がなくなる【世界の動き】
「ガソリン自動車がなくなるらしい」という噂は、聞いたことがあると思います。
では、具体的にどんなスケジュールになっているのか?
✔︎ ガソリン・ディーゼル自動車の販売禁止について
■2021年:コスタリカが販売禁止
■2025年:ノルウェーが販売禁止
■2030年:オランダ、スウェーデン、アイルランド、ドイツ他が販売禁止
■2035年:イギリスが販売禁止
■2040年:フランス、スペイン、中国が販売禁止
諸外国は、具体的に「いつまでに、こうするよ」を明言している模様。
次世代は「EV=電気自動車」を推す流れ。
EV市場(シェア率)は、中国が優位

画像はトヨタ自動車調べ、2018年時点の調査結果。
EVシェアは、中国、アメリカ、ノルウェーで7割強を占める。
EVを導入するのに補助金が下りたり、税金が減ったりと、施策も手厚い。
「作ったから、使ってくれい!」と投げやりではなく
ちゃんと使いたくなるような施策の打ち出しになっているみたい。
【率直な疑問】ガソリン自動車は、なぜなくなる?
ガソリン自動車は、なぜなくなる方向で話が進んでいるのか?
それは結論、あと55年くらいで、石油が採れなくなるかもしれないから。
(石油が採れない=車の燃料がなくなる)
「今日の石油産業」によると、2065年くらいには石油が採れなくなり、ガソリン自動車が動かなくなるかもしれない。
そもそも、ガソリン自動車に乗るだけで、空気を汚してしまう。(空気汚染問題が深刻な国がある)
世界のお偉いさんたちは、ありがたい。
自分たちがいなくなった後の世界のことを考えて
動いてくれている施策の一つが、「EV推進」と受け取れる。
ガソリン自動車、本当になくなる?【日本の動き】
世界はガソリンから電気に、自動車燃料を変えようとしている。
一方、日本の動きはというと…結論ビミョー。
・日本政府は、「2050年までに完全EV化したい」と掲げている(必達ではなく、努力目標)
・パナソニック、ヤマダ電機、ダイソンなどが電気自動車開発に参入表明している
・TOYOTAは、2025年を目処に「エンジン専用車は廃止したい」と言っている
これだけ聞けば、順調に動いていそう。
また、2020年中に、TOYOTAは2人乗りのEV車を発売予定。
↓こんなの。コンパクトですね

ただ、日本のEV普及の問題は、インフラ整備にある。
出先で愛車が充電できない
2020年時点で、全世界のEV充電スタンド数は86万2000箇所。
※中国が6割を占める。
※参考記事:https://36kr.jp/80703/
・日本のEV充電スタンド数は2万カ所くらい。(2020年、GoGoEV)
・ちなみにガソリンスタンドは3万カ所くらい。(2018年、経産省)

EVスタンドも、そこそこ数あるじゃん?
でも、そのうちの14500カ所は「普通充電スタンド」のみ。
EVは急速充電スタンドと、普通充電スタンドの2種類があり
急速充電できるEVスタンドは、7600箇所ほど。
充電時間の差
80kmを走るために必要な充電時間
・急速充電スタンド:15分で充電完了
・普通充電スタンド:4時間で充電完了
ちょっと燃料足りないから立ち寄ったスタンド。
そこで4時間も待てませんよね。笑
TOYOTAはEV自動車を作ってる。
でも、快適に利用できないインフラのまま、時が過ぎている。
環境保全のために、利便性を捨てられる?
現状、急速充電スタンドが近所にないご家庭では
自宅で充電する他ない状況にある。
あなた「OK!」
ーーーーーーー
あなた「買いました」
国「ありがとうございまぁす!」
ーーーーーーー
あなた「出先で充電するのが難しいです、どうすれば?」
国「どうしましょうね!!知りません!!」
結局、電気自動車を作ろうにも、使用イメージが沸かない。
事実として、日本の電気自動車シェア率はわずか0.7%。(2020年7月、esvmart)
■消費者の気持ち
ガソリン自動車はそのうち乗れなくなる。
でも、EV自動車は充電が面倒臭い。
じゃあ、決断は先延ばしにしよう。
■政府の認識
石油が採れなくなるらしいし、輸入を待つばかりの日本も影響が出てくるぞ。
メーカーにEV作らせたし、インフラも整えてるつもりだけど、国民がEV乗らない!!
・・・じゃあ、一旦決断は先延ばしにしよう。
自動車企業は世界に誇る日本の宝でしたが
このままだと、ここも衰退の一途を辿りそう。
自動車企業の時価総額ランキング
こちら、昨年までの自動車メーカーの時価総額ランキング。
1位:TOYOTA(日本)
2位:Volkswagen(ドイツ)
3位:Honda(日本)
しかし、2020年6月に、テスラ社(米)の時価総額が1900億円となり
TOYOTAを抜いて「世界で最も価値のある自動車企業」になった。(BRIDGEニュース)
ちなみに、日本の全産業の時価総額ランキング1位がTOYOTA。だからTOYOTAに人が集まる。
しかし、そのTOYOTAも同業他社に「企業価値」で追い抜かれてしまった。
TOYOTAの販売台数、実はもう日本より海外の方が、割合が多い。
頑張ってEV作っても、日本じゃ売れないものね。
自動車メーカーへの転職・就職をオススメするか
一人の転職エージェントとしての見解で言えば
よほどの想いがない限りは、オススメしない。
TOYOTAのような大手が潰れる未来は想像しにくい。
国内の販路がイケてないなら、海外の販路で頑張ればいいという選択肢がある。
ただ、自社がやりたいことを国の都合でできない業界に行って、楽しいだろうか?
日系自動車企業に就職を考える学生、転職を考える社会人は、こんなことを考えておくと捗るかも。
・企業は、どんなサービスを提供しているのか
・海外で同じことをやっている企業は儲かっていそうか
・日本は、その企業がやるサービスが展開しやすい状況か
・上記3点良く分からなければ、「EVに力入れているか」
ちなみに2020年上半期の新車販売台数は140万台。(日本自販協)
これは昨対比80%で、直近5年で最悪の低迷だった。
景気の悪化が続く中、新車買う人は今後も増えづらいのでは?