4.入社検討編

契約社員のメリットを現役転職エージェントが解説してみる

仁井 貴志

転職が決まった時、「契約社員」で提示されることがあります。
それまで正社員でしか働いたことがない方は、ちょっと焦るかもですよね。

悩める人
悩める人

・契約社員って、切られるんじゃないの?
・待遇が悪いって聞くけど…
・正社員になれないって聞くけど…入社して大丈夫かな?

不安は、きっと尽きないかと思いますので…
「契約社員で入社するメリット」という別視点の切り口から、解説してみます。
この記事を読めば、契約社員に対する誤解が解けるかもです。

仁井 貴志
仁井 貴志

▷ 大手人材企業にて、社会人向けにキャリアコンサルを行っています(現役プロエージェント)
▷ 人材業界6年目、延べ3000名以上のキャリア相談を受付。
▷ 以前はブラックベンチャーで営業課長。月残業250時間で消耗経験もあり。

まずは派遣社員と契約社員の違いから説明するので、このまま読み進めてみてください!

 

契約社員のメリットは?

予備知識ですが、契約社員と派遣社員は違います。

 雇用形態の違い
・一般に呼ばれる「正社員」:”無期雇用”社員を指している(A社で採用され、A社に勤める)
・「契約社員」:”有期雇用”の社員を指すことが多い(A社で採用され、A社に勤める)
・「派遣社員」:企業間で契約を結ばれて、その企業で働いている(A社で採用され、B社に勤める)

TVドラマなどで描かれがちな「派遣切り」というのは、派遣社員の話ですね。
AさんはB社で働き続けたかったのに、B社とA社が揉めて働けなくなってしまうパターンです。

契約社員は、採用された企業で働くという意味で、正社員と同じ待遇であると認識しておきましょう!

さて、その契約社員として入社するメリットですが、ざっくりこんなものがあります。

・大企業への就業チャンスを掴みやすい
・会社から求められるレベルを徐々に上げられる
・キャリアの「後付け解説」がしやすい

それぞれについて、解説していきます。

メリット①:大企業への就業チャンスを掴みやすい

契約社員の募集は、大企業に多いという事実をご存知でしょうか?
【契約社員】という雇用の枠組みがある理由は、企業も個人もお試し期間が欲しいからです。

企業は、業界も職種も経験している人を採用したいと思っています。
本音で言えば、「未経験者」は採用したくない訳ですね。

 説明補足
企業は、即戦力で働いて欲しいから、中途で採用する。
なのに、育成にコストがかかるのは本末転倒感が否めないということ。 

しかし、そんなことを言っていては、企業の成長スピードに対して従業員数が追いつかない場合があります。これが、大企業で契約社員募集が良くかかっている理由の一つです。

正解のない質問ですが、下記2つの場合、どちらの方が安定して働けそうでしょうか?

1.従業員50名の会社で、正社員として働く
2.従業員1000名の会社で、契約社員として働く

大企業でも倒産リスクのある時代ですが、資本が多いほど不況に強いことも事実です。
ちなみに、入社3年後にまた転職を考えた際にも、会社の規模が大きいことで転職しやすくなる実態があるんですよ。

仮に契約社員として働き続ける場合でも、社会人としてキャリアに箔がつけやすいと考えて良いかもしれませんね!

メリット②:会社から求められるレベルを徐々に上げられる

多くの企業では、契約社員よりも正社員の方が年収が高めです。
では、なぜ待遇に差が出るのか?これは、「求められるレベルが違うから」です。

✔︎ 無期正社員で入社した場合
・待遇に見合った高いパフォーマンスを求められる(即戦力としての活躍)
・当然、育成コストはかけられない(教えてもらえる、とは考えない方が良い)

✔︎ 契約社員で入社した場合
段階的に求められるパフォーマンスが上がる(業務に慣れる期間を考慮される)
育成コストを掛けるつもりで採用される(即戦力ではないが、素地があると見込まれて採用される)

無期正社員の面接に行って「御社は研修体制が充実していそうで」「安定していそうで」と話して、落選になる方がいます。
企業視点で考えれば、そりゃそうなんですよ。「なんで、即戦力での活躍を期待してるのに、教えてもらう気マンマンやねん」という話ですからね…。

契約社員で採用している企業は、一般に年間に何十名も採用しているような大企業が多いです。
「離職者がたくさんいるから、大量採用してるんでしょ?」と穿った目で見る方もいますし、それは個人の自由です。

 選択は自由
・年間で若干名しか採用しない企業で働き始めて、業界●年目の同僚と肩を並べて即戦力としての活躍を期待されるか。
・年間で数十名〜数百名を採用する企業で働き始めて、徐々に自分のパフォーマンスと期待値を上げていくか。
契約社員で入社するということは、後者が選択できる、ということなのです。

メリット③:キャリアの「後付け解説」がしやすい

契約社員の隠れたメリットがあります。
それは、キャリアの後付け解説がしやすいということです。

 質問です
あなたは自分のやりたいことや、将来的なキャリアビジョン(到達目標地点)を明確に描けていますか?

上記に「Yes」と答えた人は、面接でめっちゃイジメられます。笑
「そんな訳ないだろ、思い上がるなよ?」と面接官の皆様は思うんですよね。(これも厳しい話ですが、さておき…)

あなたが現在転職活動をする時点で、将来ビジョンは曖昧でしょう。
やりたいことが変わるのも普通ですので、ご安心ください。

例えば、入社後に思わぬギャップを感じてしまった場合。
または、入社後にまた別のやりたいことが出てきた場合。
入社後1〜3年ほどで、また転職活動を始めるとしましょう。
この際、契約社員で入社しておいた方が、新たに面接する企業の心証が下がりにくいです。

✔︎ 無期正社員で入社していた場合
・あなたの主張「働いたことで、新たに〇〇の業務に興味を持って…」
・企業の印象「え、責任感ないの?」「ウチ来ても、すぐ辞めるのでは?」

✔︎ 契約社員で入社していた場合
・あなたの主張「働いたことで、新たに〇〇の業務に興味を持って…」
・企業の印象「計画的に契約社員として働いていたなら、まあそうなることもあるか」

無期正社員で早期離職する方が、明らかに面接評価は下がりやすいんですよ。
一方の契約社員であれば、「ここで働いたことで視野が広がり、方向性も決まったので、契約更新のタイミングで転職活動を始めました!」と言えば、普通に納得頂けることが多いです。

気になる人
気になる人

無期正社員で入社する=生半可な覚悟じゃ辞められないってことか…。
将来したいことが変わるかもしれないから、契約社員として入社して、経験を詰みながら見聞を広めるのもアリかも?
でも、実際入社するときはどんなことを考えたらいいんだろう?

 

契約社員オファーを受ける際に気をつけるべきこと

契約社員として入社することにも、メリットがあるとお分かり頂けたと思います。
とはいえ、契約社員で入社する前に注意しておくべき事項もいくつかありますので、併せて押さえておいて下さい。

・正社員と契約社員とで求められる内容と待遇の違い
・正社員へ雇用転換するための条件と事例

前提として、契約社員として学ばせてもらいながら自力をつけていくため、十分にメリットがあります。
しかし、肝心な条件面を見ずに入社して、ギャップに感じてしまい…という状況は避けるべきです。

面接に合格して採用オファーがかかったら、上記を企業やエージェントに聞いて、理解・納得するように心がけましょう!

 

契約社員は落第生ではなく、未来のチャンスを掴むための切符

今回は「契約社員のメリット」について解説しました。
少しでもご参考頂けていれば幸いです。

周囲、特に20代の方でしたら親御さんなどは、契約社員に対して難色を示すかもしれません。
転職が当たり前でなかった時代とか、選べる仕事が限られていた時代を生きてきた昭和のサラリーマンからすると、確かに契約社員入社は恐怖だったりします。

結論ですが、転職エージェントの立場からすれば、こんな状況の方は契約社員での就業を前向きに考えていいと思います。

・規模の大きな会社に行きたい
・未経験の仕事に挑戦したい
・数年後のスキルアップを目標にしたい

最終的には、「3年後のあなたがその会社に入って理想の自分に近づきそうか」という判断基準で入社を選択していただけると嬉しいです!

陰ながら応援しております♪

参考情報

キャリアリティでは、転職に関する記事をロードマップにまとめています。

転職活動のステップごとにカテゴリーを分けているので、何かのお役に立てば嬉しいです。

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Nii Takashi
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転職エージェント|マーケター
人材派遣▶︎人材紹介▶︎人材アウトソーシング・BPO|営業とマーケ、事業推進をしてきました|サウナとゲーム、心理学が好きです!
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