1.準備編

転職に学歴は必要なのか?転職エージェントが今から本当の話をします。

仁井 貴志

転職を考えた時、自分の「学歴」に引け目を感じたことはありますか?

転職したいんですけど、自分の学歴が気になってしまって、思うように動けないんです。

気になる企業があって、応募してみようかなと思ったんですけど、
必須要項の「学歴欄」を見て手が出せないって思っちゃいました・・。

実際のところ、もし学歴が足りていなかったら、本当に選考通過しないの?

運良く面接に行けたけど、有名な企業だし、面接で学歴が足枷になったりするのかな・・?

キャリアカウンセリングを行う中で、このようにご相談される機会は多いです。
学歴の話って、学生時代の友人にも打ち明けづらいですよね。

「学歴」については、できれば転職活動を始める前に知っておきたいんだよなあ。
なんか色々考えちゃって、転職したいのに応募ボタンが押せない自分にもげんなりしちゃって・・。

私も転職エージェントとして働く前は、色々知りませんでした。そして、「知っておけば、余計な手間がかからなかったなあ」と思っています。
せっかくなので、この記事で共有していきます。

不安は大きいけど、今の会社で何年も働くイメージは持てない・・!

こんな方に読んで頂けるよう、丁寧な説明を心がけました。
5分くらいでサクッと読めますので、このまま読み進めて頂ければ嬉しいです。

仁井 貴志
仁井 貴志

▷ 普段は大手人材企業にて、転職エージェントとして働いています。
▷ 人材業界6年目。3,000名以上のキャリア相談を受けてきました。
▷ 以前はブラック企業で営業課長。残業250hで消耗経験もあり。

 

転職に学歴は必要なのか?【答え:時と場合によるけど、意外と大丈夫】

企業は、選考の過程でこんなことを見ています。(特に面接)

  • 経験
  • スキル
  • 人柄
  • 志望意欲

転職における学歴について、結論を先にお伝えします。

学歴は必要な場合があるが、重要度は年々下がっている

理由について、サクッと説明していきますね。

転職での学歴の重要度が下がっている理由

ひとえに「終身雇用の崩壊」が起こっているためです。

昭和の時代は、転職する人は周囲から白い目で見られていました。

当時の感覚としては「浮気をした人」みたいな扱いですね。

しかし、令和の現在、転職することは「場合によっては、普通にアリ」くらいに思われています。

終身雇用の仕組みについて

これまでの日系企業は、例えばこんな感じの採用・育成を行なっていました。

  1. 新卒を一括採用する(総合職)
  2. 時間をかけて、いろんなポジションをローテーションさせる
  3. 様々な部署で部下を持たせ、マネジメントの経験を積ませる
  4. ゼネラリストとして実績を出させ、役員に昇格させる
  5. 企業の発展のために、役員として責任を果たさせる
  6. 定年を迎えたら、退職金を渡して労ったり、天下り先を手配する

これが、終身雇用です。
従業員が転職しないという前提だから、育成に時間をかけられます。

ジョブ型雇用について【日本の労働生産性は低い】

近年「ジョブ型雇用」という言葉が浸透し始めました。
これはアメリカ由来のものです。

ジョブ型雇用と年功序列との違いについて、超簡単に説明しますね。

  • 年功序列:会社に長くいれば、給料がUPする
  • ジョブ型雇用:スキルが高い人が、高い給料を得る

ジョブ型雇用が取り入れられ始めた理由はいくつかあります。

「平成の30年で日本の労働生産性が向上しなかったため」というのが有力説です。

「労働生産性」について、国際比較データがあるのですが
レポートの内容を要約すると・・

・2020年のGDPは、主要7カ国の中で最下位
・OECD加盟37カ国で比較しても、GDPは21位
・一人当たりの労働生産性は、26/37位
・過去5年の生産性の向上率は、マイナス0.3%

こんな感じで、つまり散々な結果なのです。

平成中期くらいまでは、多くの日系企業は終身雇用でした。
そして、その間に日本の生産性は諸外国に追い抜かれました。

GDPも、一人当たりの労働生産性も上がらない。
ここで、「このままの雇用じゃダメだ」と一部の企業が気づきました。

そういえば「働かないおじさん」がTwitterでトレンド入りしていたこともあったな・・。日本のことを「もう先進国じゃない、オワコンだよ」と話す人もいるよね。悲しいな・・。

ジョブ型雇用は、スキル(≒実績)の有無で給与が決まっていくようなシステムです。
シビアな世界になりますが、こうした方が会社にぶら下がるお荷物上司が淘汰されていくのですよね。

とはいえ、現在の日本では、正社員を解雇することはまだまだ難しいです。
すぐに日本の生産性が上がることは、正直期待しづらいですね。

終身雇用を前提としないことで、転職における学歴の重要度が下がる

小難しい話が続いてしまいましたが、
企業は「売り上げが立つ方法」を優先的に選びたいと考えるものです。

高学歴な新卒を取って、長時間育成してもあまり意味なかった…。

これは、国際比較を見れば明らかですよね。

時代遅れになりたくない日系企業は、こんな考えに行きつきました。

学歴は二の次でいいから、優秀な人や、やる気のある人を採用したい!!

こんな背景で、転職においてはスキルや人柄重視の傾向が強まっているのです。

補足:学歴にも意味はあるが、転職における”必須事項”ではなくなった

学歴が全く意味を持たなくなった訳ではありません。

イメージでいえば、学歴は切符のようなものですね。

・その切符がないと、とある駅には降りられない
・でも、沿線を見渡せば、実は大半の駅には降りられることが分かる

こんな感じです。


転職活動でも「これまでに経験したお仕事」でのアピールや、人物像の打ち出し方を考えると捗るよ!

次の章では、学歴について多く寄せられる質問にズバッと答えていきます。

 

「転職と学歴」に関する不安・質問についての回答

「転職活動において学歴はあまり必要ない」と聞いたとしても、
やはり不安はつきものだと思います。

ここでは、私が転職エージェントとして働く中で、
顧客からよく質問いただく事項をいくつか抜粋して、回答していきます。

仁井 貴志
仁井 貴志
個人の見解ですが、3,000名以上をサポートしてきた身ですので、それなりにお役に立つのではないかと思っています。(そうだといいな!)

お悩み①:自分の学歴が気になった時に考えると捗ること

転職したいんですけど、自分の学歴が気になってしまって、思うように動けないんです。

これが、一番多く寄せられるお悩みです。

学歴が低いことで、会社に相手されないのではないか?と疑心暗鬼になってしまいますよね。

実際に落選すると「理由は分からないけど、学歴のせいなのかな・・」と感じてしまうことも。

もし転職活動を行う際は、こんなことを意識してみるのがオススメですよ。

①:進学(最終学歴)の理由を説明できるように言葉を考える
②:現在の職務経験を濃く話せるように備える
③:とにかく熱い志望動機を考える

ご参考いただけそうな記事のリンクを貼っておきますね。
いきなり求人へ応募するよりはハードルが低いと思うので、予習程度にご覧ください。

参考:面接の志望動機の作り方【5分でできる構成・例文付き】
参考:「志望動機がない」という状態から抜け出すための3ステップ【転職面接】
参考:【二次面接】徹底攻略!必要な準備とよくある質問を現役転職エージェントがまとめました

お悩み②:気になる企業があれば、学歴無視で応募するのがオススメ

気になる企業があって、応募してみようかなと思ったんですけど、
必須要項の「学歴欄」を見て手が出せないって思っちゃいました・・。

ぶっちゃけ、必須要項の「学歴欄」を見ると、萎えることがありますよね。
個人ブログだから、誰かに怒られることを気にせず書いちゃうのですが・・

実は、求人票の学歴欄は、気にしなくていいです。
理由はこんな感じです。

①:企業が、学歴欄をテキトーに”埋めているだけ”のことがある
②:学歴について、一応のボーダーラインはあるけど、越えられる
③:効率を考えた時、無視した方が時短になるし、気が楽になる

それぞれについて、サクッと説明していきますね。

企業が、学歴欄をテキトーに”埋めているだけ”のことがある

企業が、求人票を作るときの話です。

学歴欄は、求人の登録をする際に必須で埋める必要があります。
そして、これが転職エージェントによってはプルダウン(選択式)になっています。

ここで「とりあえず大卒って入れとくかあ」という感じで、特に考えず指定している企業も結構出てきています。

転職エージェントが思考停止で「このポジションは大卒以上ですよね?」と要件のヒアリングしていることもあります。
企業としては必須条件でなくても、「まあ、それなりに応募が集まるならいいかあ」と話が進んでいくのです…。

学歴について、一応のボーダーラインはあるけど、越えられる

上述の通り、学歴より「スキル、人柄、やる気」などを重視して選考を行う企業も増えています。

ライバル次第にもなりますが、学歴の壁を超えて採用オファーを勝ち取る方もたくさんいますよ。

効率を考えた時、無視した方が時短になるし、気が楽になる

コロナ禍での転職活動では、平均して20〜30件は求人応募を行います。
そして、学歴の要件を満たしている方を含めても、書類選考の通過率は10〜20%くらいです。(年齢などにもよりますが)

何が言いたいかというと、「20件応募しても2〜3社しか面接に進めないなら、応募にかける時間は1分でも短くした方がいいよね」ってことです。

サンクコスト効果

人は、物事に費やした時間も”投資”だと認識します。

費やす時間が多いほど、良い結果を期待します。
また、良い結果が得られるまで投資をやめません。

ギャンブルにハマる人などを想像すると、分かりやすいでしょうか。

求人に応募するときは、敢えてじっくり検討しない方が、気が楽かもです。

すると、結果的に早く&多くの面接機会を得ることができます。

お悩み③:学歴が足りていなくても、選考通過することがある

実際のところ、もし学歴が足りていなかったら、本当に選考通過しないんですかね?

上述の通りで、学歴が応募要件を満たしていなくても、書類選考を通過することがあります。

根性論っぽく聞こえて欲しくないのですが
「応募してみないと分からない」部分はあるんですよね。

以下の要素が絡み合うので、場合によるのです。

・ライバルの応募状況によって、あなたの優先度が変わる
・企業内部の人員構成の変動によって、採用要件の中でも重視項目が変わる

これらは、応募前でも応募中でも「見えない要素」になります。
見えない要素を気にするのは、精神衛生的にヨロシクないですよね。

幽霊を怖がっていたら、夜道を歩けなくなってしまいます。

学歴を気にして応募しないことは勿体ないので、ガンガン応募していきましょう!

本当に学歴が必要な企業の場合

ちゃんと書類で落としてくれます。

つまり、学歴を含め、書類選考の当落は企業が判断すれば良いことです。
あなたは完全無視で応募してOKという訳で、気にせず応募を検討しましょう。

お悩み④:学歴フィルターは存在する。でも、フィルターをぶっ壊すこともできる

運良く面接に行けたんですけど、有名な企業だし、
面接で学歴が足枷になることはありますか・・?

「学歴フィルター」というものは確かに存在します。

例えば、「コンサル,商社,BtoCメーカー」などは、比較的に学歴フィルター強めの傾向アリですね。

しかし、書類選考を突破していれば
面接で学歴を理由に落とされる可能性は低いです。

差し当たって、「あなたの過去」を面接でスラスラ話せるよう準備しておくことを強くオススメします。

面接では、「どういう学歴か」ではなくて
「どうしてその選択をしたのか」という観点から
あなたの人物像や、意思決定の一貫性などを見ることがあります。

例えば中学受験をしていれば、中学時代から話を聞かれることもあります。
30代の転職面接でも、普通に学生時代のことを聞かれたりしますね。

あんな昔の話、聞かれると思ってなかった・・。対策してなかったから、うまく答えられなかったなぁ…。

面接後に、こんなことを話される方が多いのも現実です。

裏を返せば、学生時代のエピソードもカバー(対策)すれば、高学歴のライバルにも十分勝てます。
学生時代〜社会人の現在に至るまで、あなたの軸となる価値観・趣旨が一貫していると、企業からの評価がグッと上がりますよ。

不安が解消されなければ、個別コンサルを実施します。

ブログで全てをお伝えできたかどうかは分かりませんが、何か一つでも参考になりましたら幸いです。

最近、タイムチケットで個別のコンサルを始めました。
もし解消できない不安などあれば、お気軽にご相談ください。

1on1コンサル:面接対策サポート編
1on1コンサル:書類作成サポート編
気になる人
気になる人

学歴で全てが決まる訳じゃないし、行動すればミラクルが起きるかもしれないんだな。
ちょっと、気負いすぎてたかも。試しに1〜2社応募してみようかな!

 

学歴は気にせず、転職活動を始めてみよう

今回は、転職における学歴のアレコレについて解説しました。

仁井 貴志
仁井 貴志
筆者も決して高学歴とはいえないのですが、あくせく働いていたら、気づけば隣の席に東大出身のエリートが座っていることもあり、なんか嬉しかったです。学歴は、社会人以降の努力でカバーできるものですね!

書類で落ちても、面接で落ちても、それが学歴のせいとは限りません。
単純にスキル不足だったり、応募のタイミングで一歩出遅れただけ、なんてこともザラにありますよ!

心が整うまでは、ゆっくり情報収集をしていても良いかと思います。
しかし、年齢が上がるとともに、選考のハードルも上がっていきます。
また、コロナの影響もあり「これを機に転職しようかな」と思う方は増えています。

学歴・経歴がネックに感じる場合こそ、早めの転職活動をオススメします。

なお、転職エージェントは担当者も求人も豊富な大手に登録しておきましょう。
担当者との相性を見つつ、徐々に絞っていくのが良いですね。

✔︎ オススメの転職エージェント
リクルートエージェント(公式サイト)
doda(公式サイト)
JAC Recruitment(公式サイト)
マイナビエージェント(公式サイト)

参考情報

キャリアリティでは、転職に関する記事をロードマップにまとめています。

転職活動のステップごとにカテゴリーを分けているので、何かのお役に立てば嬉しいです。

転職活動の完全ロードマップを「現役転職エージェント」が解説する

転職活動のお困りごとを全て解決する「転職活動ロードマップ」を作りました。現役の転職エージェントの知見をフル活用して、全ての記事を無料公開しています。転職の情報収集や対策にお役立てください。

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Nii Takashi
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転職エージェント|マーケター
人材派遣▶︎人材紹介▶︎人材アウトソーシング・BPO|営業とマーケ、事業推進をしてきました|サウナとゲーム、心理学が好きです!
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