【退職のやり方】退職願と退職届の違いや注意点【初心者向け解説】

こんにちは、仁井です。
普段は転職エージェントとして働いています。
転職先が決定した後は、退職交渉が待っています。
「退職」は人生でそう何度も経験することではありませんから、勝手が分からず、緊張しますよね。

退職って、実際どんな流れでやるんだろう?
退職理由、上司にちょっと話づらいな‥。
退職の時に揉めるって話も聞くけど、円満に辞める方法ってあるのかな?
こんな悩みの解決記事を作りました。
退職のトラブルは実際に多々ありますが、実はほとんどのケースは辞める側が正しい知識を持っていなかったからなんですよね。
記事の内容
退職までの流れと心得を押さえよう
揉めずに辞めるための方法を押さえよう
いざという時に、身を守る術を押さえよう
記事の信頼性
転職のサポートをした方には、漏れなく退職のアドバイスも行っています。
基本は揉めずに辞める。揉めたら身を守って辞める。そんなサポートをしている身です。
読者さんへの前書きメッセージ
様々な退職トラブル事例を見てきておりますが、労働法はあなた(従業員)の味方です。(参考記事)。
読者さんには「就業選択の自由」があります。退職は謝罪会見ではなく「感謝を伝える機会」ですので、まずは退職までの流れから押さえていきましょう!
今回の記事を読めば、極力揉めずにスムーズな退職ができますよ。
それでは、さっそく見ていきましょう。
退職するまでの流れ【把握しよう】

そもそも、どういう流れで退職日を迎えるの‥?
まずは、あなたが退職するまでの流れを把握しましょう。
退職イメージの7ステップ
- 転職活動を済ませる
- 使える残りの有給日数を調べる
- 退職日を決める
- 『退職願』を書いて、提出する
- 実際の退職日や、引継ぎ計画など話し合う
- 退職日の確定後、『退職届』を書いて、提出する
- 退職日を迎える(退職)
ステップ1:転職活動を済ませる
この記事では、転職活動が完了している想定でステップ2から解説します。
ちなみに「内定」という言葉を誤解している方が多いですが、最終面接合格=内定ではありませんよ。
- 最終面接に合格して
- 採用条件通知書や雇用条件を書面でもらって
- 書類を確認して、内容に納得したので入社を承諾する
ここまできて、ようやく「内定」です。
もし1ステップの転職活動について不明点や不安点があれば、転職ロードマップの各カテゴリーからご確認ください。

転職活動の完全ロードマップを「現役転職エージェント」が解説する
転職活動のお困りごとを全て解決する「転職活動ロードマップ」を作りました。現役の転職エージェントの知見をフル活用して、全ての記事を無料公開します。業界や職種・社格についての幅広い知識を持ちながら、個人のサポートに専念するキャリアアドバイザーでしか話せないことがあります。個人的な願いで知って頂きたく、全力で綴ります。
ステップ2:有給日数の調べ方
- 給与明細に載っている
- 社員用のポータルサイトに載っている
通常、いずれかの方法で確認できます。

私の有給って、何日残ってましたっけ?
上司に気軽にこう聞いても良いです。
職場の雰囲気的に、簡単に聞けない状況の方もいますね。 その場合は、5ステップ目で確認できるので安心してください。
ステップ3:退職日の決め方
会社と揉めないようにするのであれば「来月末」が妥当です。
ちなみに民法では、退職を申し入れてから2週間後に辞めていい権利が発生する旨の記載があります。
【民法第627条1項】
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

「就業規則で退職予告を3ヶ月以上前とする」という記載をしている企業もあります。
それは会社の規則であって、当たり前ですが法律の方が強いです。
そもそも、中途採用で5ヶ月後の入社を快諾する企業はほぼゼロ‥。普通に1ヶ月前の予告でOKですよ。
例えば9月15日に内定になったのであれば、10月末日で退職する旨を退職願として提出するイメージになります。
ステップ4:退職願の出し方
- 退職願を書いた日付
- 一身上の都合で辞める旨
- 退職日を●月●日付とする旨
- 自分の署名
この4点が含まれていれば、細かい文章に決まりはありません。ネットで検索すればテンプレが転がっていることでしょう。

セオリーは「紙に直筆で書こうね」なんですが、上司に書類を渡せない職場環境の方もいます。
記録に残して相手が受け取りさえすれば問題ないので、実はメールやLINEで送っても効力は発揮されますよ。(退職届として)
月末などに内定となった場合は、急ぎ退職願を出す必要がありますよね。
会社に迷惑をかけないためにも、早めに知らせるのが吉です。
『辞表』と書かないように!
退職願や退職届を、『辞表』と書いてはいけません。
辞表とは、取締役などの役職者が「その役を降りる時に」提出する書類だと覚えておいてください。
厳密には別の意味を含まれますが、とりあえず退職するときは「退職願・退職届」です!
ステップ5:退職日までの過ごし方
上司や、そのまた上司と退職面談が行われます。
この際のポイントは2つです。
- 退職願で報告した退職日を元に、有休消化と業務の引き継ぎスケジュールを設計して、最終出勤日を決める。
- 退職の引き止めをされる可能性があるため、退職理由と転職先は絶対に言わない。
有給って取れるの?
権利なので取れます。どれだけ上司が怖くても、言っちゃいけないことではありません。
退職面談の場で「残りの有給は何日か」「それを使い切った上で、業務引き継ぎのスケジューリングをお願いします」と言いましょう。

有給休暇は、半年以上の在籍があり出勤率80%以上の方には10日以上付与されます。
有給を取らずに辞めてもOKですが、貯金が増えるので「取れるなら取った方がいいよ〜」とオススメしています。
退職理由と転職先をしつこく聞かれたら
頑張ってかわし続けてください。
「これ言われたら、手が出せない」と企業が引き下がる魔法の言葉を授けましょう。

会社に不満はなかったのですが、ご縁があって転職することになりました。入社日が既に確定しているので、残り続けることはできず申し訳ございません。今まで本当にお世話になりました。

転職先については、込み入った話と個人情報になりますので、トラブル防止のため誰にも話さないよう専門家からアドバイスを受けております。退職後もご縁がありましたら、ぜひまたお時間いただければ幸いです。(関わる気がなければ、2度と連絡しませんけどね)

(どう粘られても)お伝えできないことがあり、こちらは本当にスミマセン。最終出勤日までは精一杯働きますので、最後までどうぞよろしくお願いします。今まで本当にありがとうございました。
退職理由を聞き出せない、入社日が確定している、入社先が分からない。
こうなると、会社としては引き止めのしようがなくなります。
【トラブル防止】退職面談はスマホで録音
ごくたまに、かなり強気に「辞めさせないぞ!!」など言ってくる上司がいます。
会社がそういう文化であるか、上司が暴走しているかの2パタンですが、いずれにせよスマホで録音して面談に臨んでください。
その場を逃げて、労働基準監督署へ録音データを提出すれば、一発で辞められます。
ステップ6:退職届の書き方・出し方
最終出勤日までのスケジューリングが完了したら、「退職届」を出しましょう。
書く内容は、退職願とほぼ同じです。

退職願と退職届の違いってなんだ‥?
こんな疑問が生まれた方のために、ざっくり説明します。
- 退職願:会社に対して退職を願い出るための書類(一応、却下される可能性がある)
- 退職届:会社の可否を問わず、退職を通告するための書類
上述の通り、読者さんは民法で守られています。
なので辞められますし、退職願を出さずに退職届を提出することもOKです。
ただ‥円満に退職したくてスケジュールに余裕があれば、「退職願」から出すことをオススメします。

あなたに大切な人がいたとしましょう。
いきなりLINEブロックで音信不通になるより、別れ話をする方が筋‥ですよね。
※やばい相手から何としても逃げたい場合は、話が変わります
ステップ7:最終出勤日を迎える
おつかれさまです、最終出勤日になりました。会社の皆さんにお菓子を配って去りましょう。
デパ地下で買った乾き物でOKです。チョコとか生物は、持ち帰る際に型崩れするので避けた方がいいですよ。
有給をしっかり獲得できたら、慰安旅行や趣味などでゆっくりしつつ、次の会社の入社日を迎えてくださいね。
退職を申し入れる前に、心得ておくこと

退職を伝えるの、怖いなあ。上司に嫌な顔されるんだろうなあ‥。
今抱えている仕事もあるし、途中で放り投げるようなことをするのって、気が引けるなあ‥。
区切りの良いタイミングで辞めたかったけど、結局その頃には別の仕事が入ってくるしなあ‥。
退職することを「申し訳ない」と感じる人が多いです。
気持ちはわかりますが「実は、全然気にしなくていいんだぜ」ってことを今から話します。
退職の事実と心得
- いつ、誰が辞めても会社は困る。→いわゆる「辞め時」なんて存在しない。
- あなたはこれまで、その会社で働いた。→労働した時点で貢献している。「周囲に迷惑」と思うのはお門違い。
- あなたには職業選択の自由がある。→「辞められない」なんてことは絶対にない。
あなたは会社を退職して良いので、自分を責めないでくださいね。
退職したい方が気をつけること【少しの工夫で、身の安全を守る】

やっぱり緊張するなあ。
他に、退職するときに気をつけた方がいいことはあるかな?
必須事項というほどではありませんが、いくつかあります。
再掲する内容もありますが、トラブル防止のために意識しておきましょう。
メールやLINEの駆使
とにかく「言った、言わない」「送った、受け取ってない」が問題になります。
LINEなら既読がつくので、上司が忙しければ取り急ぎLINEで退職を申し入れてくださいね。
記録に残すことで、法的な効力が発揮されます。
有休消化の方法
- 有給を消化しながら、最終出勤日を迎えるのか
- 最終出勤日を早々に終えて、退職日まで有休消化に充てるのか
この2択を会社に選んでもらいましょう。
「退職日までに有給消化しきれないから、ゴメンね?」など言ってくる会社がありますが、言語道断です。
読者さんの有給消化は権利で、民法に則った手順で退職通告しています。
「業務の引き継ぎが・・」というのは会社の都合ですから、突っぱねてOKですよ。

甘んじて受け入れる、器の大きさを見せても良いですけどね!
でも、頑張って獲得したはずの権利が謎に消えるのって、変じゃない?
退職時に受け取る書類の確認
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票(転職先が未定なら)
これらの書類を「いつ、どのように」受け取るのか、確認しておきましょう。
給与明細のデータ化
社員用のポータルサイトを持っている会社なら、給与明細は3ヶ月分をPDFデータ化しましょう。
明細を手渡しする会社なら不要ですが、新しい会社に提出する必要が出てくるかもしれない書類です。

実際にあったトラブル事例を用いて、いくつか書いてみました。
必要な手続きを怠る会社もいますので、注意しておきましょう。
仕事が落ち着くタイミングはない【辞めることを恥じなくてOK】
退職の流れや心得、トラブル回避の方法など、ご参考いただけましたか?
職場によっては、去るあなたを白い目でみる同僚がいるかもしれません。
これは致し方ない事実ですが、あなたが去ることで目が覚める同僚もいる筈です。
あなたの勇気ある決断が、同僚の誰かを救うかもしれませんね。
辞めて困る人が出るのは当たり前
あなたが去ることで上司や部下、顧客は困ることでしょう。
これはあなたが働いた功績が残っている証拠です。「いなくなっても全く困らない」という方が、ちょっと胸の痛い話ですよ。笑
安心して退職しましょう。次のステージでの活躍を応援しています。
退職が難航しそうなら、「退職代行」を使うのもアリ
いわゆる「ブラック企業」へお勤めの方へ。

上司の●●さんが怖すぎる・・
退職の話なんかしたら、ブチ切れられそうだな、話したくない‥!
残念ながら、こうして怯えながら働いている会社員の方がいるのも事実です。
この文章で、怖い上司の顔が思い浮かんだあなた。そう、あなたに向けて書いているんです。
本当にヤバい上司や会社が相手なら、退職代行サービスを使ってみるのも手段の一つですよ。
退職代行マイスター
退職代行については、『退職代行マイスター』というポータルメディアで詳細に解説されています。
仕事によって心身辛い方向けに寄り添った記事を投稿されていますので、よければ併せてチェックしてみてください。
退職代行サービスのイロハや比較
当ブログの別記事でも、退職代行サービスの比較記事を作っています。

退職代行の料金比較!使い方を業者の見分け方を解説【確実に辞めよう】
この記事では、退職代行サービスの概要について説明しています。また、料金・費用の相場や代表的なサービス3社を転職エージェントの目線で比較解説しています。今の会社であと何年も働ける気はしませんよね。あなたがこれ以上、理不尽な目に遭わないための参考資料になれば幸いです
上司や会社と真っ当に話し合いができないな‥と思う状況の方は、一読してみてください。
参考情報
キャリアリティでは、転職に関する記事をロードマップにまとめています。
転職活動のステップごとにカテゴリーを分けているので、何かのお役に立てば嬉しいです。

転職活動の完全ロードマップを「現役転職エージェント」が解説する
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