高卒者のための転職活動戦略を、現役転職エージェントが紐解く

転職を行う際、まずは求人票を確認して、どの企業へ応募するかを決めていきます。
求人票には、学歴欄がありますね。「学歴は不問」「大卒以上」など書かれています。
例えば最終学歴が高卒の転職希望者からは、このような相談を多くいただきます。



「未来は変えられるけど、過去は変えられない」的な事実があります。
学歴をロンダリングしようと考える方もいますが、ぶっちゃけ働き始めてから新しく大学へ通うことはあまり現実的ではありませんよね。
経済的な事情もありますし、今から+4歳になったこと自体が採用ハードル激高・・と言わざるを得ない選考も増えてきます。
では、どうすればいいのか。
答えとしては、「高卒者のための転職活動のコツ」を押さえましょう。
この記事を読んで分かること
・大手企業を目指す時の留意点
・書類選考を突破するためのコツ
・面接で学歴の話を切り抜けるための話し方
5分くらいでサクッと読めますので、このまま読み進めて頂ければ嬉しいです。

▷ 普段は大手人材企業にて、転職エージェントとして働いています。
▷ 人材業界6年目。3,000名以上のキャリア相談を受けてきました。
▷ 以前はブラック企業で営業課長。残業250hで消耗経験もあり。
これまで、最終学歴で悩む中卒者、高卒者、専門卒者の方を多くサポートしてきました。できる限り、わかりやすい説明を心がけますね。
※この記事では「高卒者」にスポットを当てていますが、自分の最終学歴に置き換えながらご参考いただけると嬉しいです。
【実態】高卒から大企業への転職はハードルが存在します。【経験次第ではチャンスあり】
最終学歴が高卒の方が大企業へ転職することは、簡単ではありません。
理由は、大企業の選考は応募者の分母が大きいためです。
例えば、採用人数が1名のみの求人があるとしましょう。
企業の規模によって、応募者の分母はこのように変わります。
✔️中小企業の選考について
・ひとつの求人に、5〜50名ほどが応募する
・面接に2〜5人ほど呼ぶ
・1〜2回の面接で、採用する1名を決める
⇨選考倍率:MAX50倍
✔️大企業の選考について
・ひとつの求人に、30〜300名ほどが応募する
・面接に5〜50人ほど呼ぶ
・1〜4回の面接+適性検査、webテストなどで、採用する1名を決める
⇨選考倍率:MAX300倍
もちろん、様々な要素が組み合せによって、応募数や選考内容は変わります。
大手の求人でも応募が1件も集まらないことはありますが、イメージとしてご参考ください。
人気ポジションの求人票がどう作られるか
「あなたが知っているし、みんなも知っている」という企業には、応募者が殺到します。応募者が多く集まると予想できるポジションは、求人の応募要件欄を厳しめに書きますね。
例)
・学歴:大卒以上
・経験:医療・バイオテクノロジーの分野にて3年以上の就業経験
・人物像:法人相手に論理的にお話ができる方
このように、大企業をはじめとする人気ポジションでは応募者の分母が多いことで、学歴が不利な要因になることがあります。
大企業への転職が成功しやすい方の特徴
高卒者でも、大企業への転職を成功させている方は実際にいます。
転職成功者の特徴は、以下が挙げられます。
・職務経歴書の完成度が高い
・高校時代〜現在に至るまでの意思決定軸が面接で明確に伝わる
・人物としてポジティブ(話の上手い下手ではなく)
次の章以降でも、詳しく触れていきますね!
転職活動では、企業規模の”大小どちらも”満遍なく応募するのがオススメ

こんな風に悩む方はとても多いです。
コロナ不景気も重なって、大企業も採用に慎重ですからね。
これまで3000名以上の転職をサポートしてきた私の立場で考えますと、応募は「大企業+中小企業」のどちらも行っていくことが良いと思います。
理由は簡単で、あなたの市場価値が手っ取り早く分かるからですね。
新卒採用ではなく中途採用になりますので、業界や職種の経験も重視されます。
大手に絞って応募していると、苦しい戦いを続けることになるかもしれません。
・「シャボン玉を遠くに飛ばす選手権」なのか ・「逆風の中でシャボン玉を前に10m飛ばせ」と言われているのか 状況によっては、実現不可能なわけです。(イメージの話)
応募ライバルの経験や企業内部の体制によってはミラクルも起こりますので、気に入った大企業にはもちろん応募しましょう。
しかし、あなたが早々に面接の機会を得て、話し慣れる成功体験を積むことも大切です。よって、企業規模を理由に応募しないことはオススメできません。
余程の事情がない限りは、企業規模に関係なく応募してみて、どんな企業が面接に呼んでくれるのかを確かめてみましょう!
「学歴」は書類選考の足切り要素になります。【ただし、転職活動ならカバーできる】
上述の通り、応募者が殺到する人気ポジションでは学歴が一つの選考要素になり得ます。

このように、学歴は書類選考の足切り要素になり得ます。
しかし、ぶっちゃけ新卒の時ほど重要ではありません。
転職活動なら、学歴以外のこんな情報も重視して選考してくれるためです。
・職種や業界の経験
・経験から何を学んできたか
・労働への価値観、姿勢
・志望意欲
・協調性やリーダーシップなど、人物像
中途採用はあくまでも即戦力を求めています。「学歴が良いから即戦力」と考える企業はごく少数ですね。
多くの企業は、職務経験や人柄の総合判断で採用可否を決めます。気負いせずにいきましょう!
参考:大手企業に転職するための3つの方法【転職エージェントが解説】
【オススメ】職務経歴書は、転職エージェントに添削してもらおう!
高卒者の転職活動において、鬼門は書類選考です。
ここでオススメなのが、転職エージェントを利用することです。
理由は、職務経歴書の完成度を上げるためです。
背景として、コロナ以前では1.7倍近かった有効求人倍率が、コロナ禍では1.05~1.1倍ほどで推移しています。(参考:2021年、JILPT)
転職サポートの現場にいると分かるのですが、特に「書類選考」と「最終面接」の通過率に影響が出ています。
大卒者も書類選考の通過率が下がっています。高卒者の場合は10〜15%ほどの書類通過率です。
書類選考の通過率を上げるために出来る努力は、職務経歴書の完成度を上げることですね。
プロのサポートが入った職務経歴書は、人事ウケが良いです。ライバルが転職エージェントを使っていたら、職務経歴書の完成度では敵わないでしょう…。良い求人は取り合いになりますから、この事態は避けるべきです。

20代の高卒者にオススメの転職エージェント(フリーター含む)
20代の高卒者にオススメの転職エージェントを3つ紹介します。
現役の転職エージェントの目線で、良いなと思った会社を抜粋しました。
その①:第二新卒エージェントneo
第二新卒エージェントneoは、カウンセリングに命をかけているようなエージェント会社です。
あなたの事情や気持ち、スキルを丁寧にヒアリングしてくれますよ。
※一人当たり平均8時間のサポートや、面接対策、入社後のフォローなども、かなり手厚いと思います。(同業者として)
未経験OKの正社員求人の取扱も多く、取引企業も10,000社を超えています。
その②:DYM転職
DYM転職は、第二新卒・既卒はもちろんフリーターやニートの方向けの正社員求人も多数紹介しています。

という方でも、1週間でスピード内定を出している実績があります。(イベント来場者の96%が就職できたという話も)
あなたの希望や経験にドンピシャな求人が紹介してもらえるかもしれません。
その③:ウズキャリ
ウズキャリはコロナ禍でも書類通過率87%超えを誇る、後発の中ではイケてるエージェントです。
明確に29歳までの支援にコミットしており、面接対策も独自にカスタマイズされたサポートが無制限に受けられます。
「ブラック企業を徹底排除!」と謳っていたり、社員の多くがTwitterをやっていたりと、なかなかユニークな会社です。
大手のエージェントにおりますと、こういう会社単位で分かりやすい方針を掲げることが難しいと感じます。
ウズキャリが大手になってしまう前に、利用すべきかもしれませんね。
30代以降の高卒者が使うべき転職エージェント
30代以降になりますと、応募の件数やスピードが勝負の分かれ目になってきます。
理由は、スキルや経験の土台が既に作られているためです。
- 経験を過不足なく伝えられるような職務経歴書に仕上げる
- 経験にフィットした企業へ、ライバルよりも早く応募する
この積み重ねで面接チャンスを獲得しますので、いわゆる大手のエージェントを複数使うことがオススメです。
出来るだけ鮮度の高い求人情報を多く仕入れて、あなたが「気になる!」と思った企業はその日のうちに応募するのが勝利の法則だと思います。
✔︎ オススメの転職エージェント
・リクルートエージェント(公式サイト)
・doda(公式サイト)
・JAC Recruitment(公式サイト)
・マイナビエージェント(公式サイト)
【他言厳禁】最高の職務経歴書(レベルMAX)にするための裏技
職務経歴書のレベルをMAXに引き上げる裏ワザがあります。それは、複数のエージェントに職務経歴書の添削を依頼することです。(一斉にではなく、順番に)
- 職務経歴書を簡単に自分で作る
- 職務経歴書をA社に添削協力してもらう
- 添削できた職務経歴書をB社に見せる
- ①A社が添削②A社+B社が添削した2パタンの職務経歴書をC社に見せる
すると、このように3パタンの職務経歴書が出来上がります。
①A社が添削 ②A社+B社が添削 ③A社+B社+C社が添削
最後は、どれが一番しっくり来るかを確かめて、使用する職務経歴書を決定します。
注意として、各社には事情を話さずに依頼しましょう。
エージェントがあなたへの対応優先度を下げるリスクがありますので。
よって、他言厳禁の裏ワザです。
ちょっと心が痛いかもしれませんが、あなたの人生がかかっていますので、なりふり構っていられません。
使えるものは全部使って、あなたが損しないことを一番に考えて欲しいなと思います。

まずはエージェントに相談してみて、書類作りも手伝ってもらう!
【面接対策】最終学歴や進学の意思決定をどう話せば企業が納得するか【現役エージェントが教える】
少し先の、面接当日を想定したお話をします。
最終学歴や進学の意思決定については、面接で話せるように備えておくことを強くオススメします。理由は、この話の中からあなたの人物像を特定しようとする面接官が多いためです。
ケーススタディ:面接官の質問意図を理解する
実際の面接では、こんな質問を受けることが想定されます。



面接官の話し方を見て、思うところはありますか?
勘の鋭い方は気付くかもですが、進学先がどこかではなく、一貫してあなたの考えを訊かれています。
事実を話すことは簡単。意思は理路整然とした即答が難しい
- ●●高校を出たあと、就職した(事実)
- 高校時代に●●なことを思い、就職した(意思)
一人で面接準備をされる方が陥りがちな罠ですが、事実だけ考えて意思があやふやなまま面接に臨んでしまいがちです。
当時から相当な覚悟で日々考え、生き抜いてきた方であれば、何を訊かれてもサラッと答えられるでしょう。しかし、そんな方はごく少数です。
多くの方は「事実は即答できるけど、昔の意思は不意を突かれるとうまく答えられない」と話されます。
私たちは日々さまざまな思いを抱えながら生きていますので、質問を想定して面接に備えていきたいですね。
差し当たって、以下の3つの準備を押さえていただくと良いかと思います。
準備①:「就職を選んだ理由」当時の気持ちをポジティブに話す【解釈は後付けでOK】
事実は変えられませんが、気持ち(解釈)はどう話してもOKです。
面接評価を下げないためには、ポジティブな気持ちで話すことが有効です。

これが事実という方もいるかと思います。
当たり前ですが、このまま伝えてもアピールにはなりません。
対策としては、例えばこのように話しましょう。

高卒で就職を選択した理由ですが、当時は早く社会に出たかったという気持ちが強かったです。
今にして振り返ると、大卒の方が職業選択の幅が広がったのかもしれないと思います。
しかし、当時の私が選択できる範囲の職業で納得していたため、大学の学費のことも考えますと、社会に出たい気持ちの方が強かったように思います。
また、早く自立して僅かでも家計の支えになりたいと考えていましたので、高卒での就職を選択しました。
家計事情に首を突っ込んでくる面接官はいませんから、これで納得してもらえます。
あくまで一例ですが、このように話すと次のような質問にも繋げやすくなります。
準備②:高卒で苦労したことと+良かったことはセットで話す
苦労話を聞かれることは多いです。
この際、「●●な苦労があったけど、▲▲な良いこともあった」といった主張で発言を締めていきましょう。(ここでも、ポジティブに)

18歳で社会に出たので、常識がまだまだ足りていなかったなと痛感した思い出があります。
お客様に対して上司を「さん付け」で話してしまったり、お店やタクシーでの席順なども分からずあたふたしました。
ただ、経験しながら学んで行きましたので、若いうちにたくさん失敗させて頂いて助けられました。
年齢は関係なく、「新人は色々分からない」という前提で接するようになったので、良い経験だったなと思っています。
こんな感じで話すと、人物的にも好印象かと思いますよ。
準備③:学歴について、企業への逆質問を用意する【質問しない面接もある】
もし自分の学歴に引け目を感じている場合は、学歴についての逆質問を用意しましょう。

ただし、面接中に企業から学歴に関する質問を受けた場合に限り、解禁です。
特段、学生時代の話などに触れられなかった場合は、コチラが気にしている素振りを見せない方が、企業に懸念を与えません。
基本的に逆質問は「それを聞かないと、入社するかどうか判断できない」といった内容に絞りましょう。
逆質問のコツについては、以下の記事もご参考ください。
参考:面接の逆質問の例【作り方のコツは、シンプルな自問自答】

どう話せば面接で理解してもらいやすいか、考えておこう!
学歴フィルターを壊して、良い採用オファーをもらおう
今回は、高卒者の転職について解説しました。
繰り返しになりますが、転職は学歴重視ではなく、スキルや人柄、やる気などの総合判断で採用可否が決まります。
高学歴のライバルがいても、十分戦えますので、頑張ってくださいね!
しかし、面接の準備が大変、面接に進むまでの道のりが遠いと感じる高卒者が多いことも事実です。
このため、転職エージェントの利用をオススメしています。(無料ですし、今ならwebや電話面談も盛んですからね)

オススメの転職エージェント(再掲)
✔︎ 20代にオススメの転職エージェント
・【無料相談】第二新卒エージェントneo(公式サイト)
・【無料相談】DYM転職(公式サイト)
・【無料相談】ウズキャリ(公式サイト)
✔︎ 30代以降にオススメの転職エージェント
・リクルートエージェント(公式サイト)
・doda(公式サイト)
・JAC Recruitment(公式サイト)
・マイナビエージェント(公式サイト)
参考情報
キャリアリティでは、転職に関する記事をロードマップにまとめています。
転職活動のステップごとにカテゴリーを分けているので、何かのお役に立てば嬉しいです。

転職活動の完全ロードマップを「現役転職エージェント」が解説する
転職活動のお困りごとを全て解決する「転職活動ロードマップ」を作りました。現役の転職エージェントの知見をフル活用して、全ての記事を無料公開しています。転職の情報収集や対策にお役立てください。
読者さんが後悔のない社会生活を送れますよう、祈っております。